vol202016/4/10(日)は、日本呼吸器学会総会に出席いたしました。年一度だけの呼吸器科の一番大規模な学会です。下記のような講演を聞きにいきました。

  1. オプジーボについて
    九州がんセンター呼吸器腫瘍科の瀬戸貴司先生が、肺がんのうちで非小細胞肺がんに対して、免疫チェックポイント阻害剤のPD-1抗体であるニボルブマブ(商品名オプジーボ)の臨床研究と実際使用経験について話されました。元同僚の先生ですが、最近いろんな学会で活躍されるようになって、頼もしい限りです。
  2. 肺癌治療としての分子標的薬について
    この中に➀オプジーボが入りますが、いわゆる抗がん剤と言われる副作用の多い殺細胞効果を期待するものとは一線を画します。島根大学呼吸器・臨床腫瘍学の礒部威教授が、EGFRのチロシンキナーゼ阻害剤やALK阻害剤やオプジーボなどの治療指針について説明されました。
  3. 喘息・COPDの病態とバイオマーカーについて
    日本大学内科学系呼吸器内科学分野の権寧博先生が、病勢や治療に対しての指標となりうるペリオスチンなどについて講演されました。
  4. vol19/吸入指導について
    呼吸器科としての薬は吸入薬が多く、いろんな吸入器があります。藤田保険衛生大学呼吸器内科学Ⅱ講座の堀口高彦教授が、この吸入器の吸入方法をDVDにまとめられました。現在当院でも配布できるように依頼しております。
    詳細は環境再生保全機構のホームページをご参照ください。
  5. 呼気NOモリタニングについて
    山口大学の呼吸器・感染症内科学講座の松永和人教授が、喘息における呼気NO値をモニターして治療にどのように反映するかの方針を示していただきました。
  6. 気管支サーモプラスティーについて
    このホームページでも過去2回ほど話題に取り上げさせてもらいましたが、今回の講演は学会会長の特別セッションに選ばれていました。獨協医科大学呼吸器内科の石井芳樹教授と帝京大学内科学講座呼吸器学山口正雄教授が、それぞれこの治療の是非について講演されました。標準の治療をまずしていただくことが前提ですが、それでもコントロールの悪い方には選択できる治療の一つです。
  7. vol20/肺気腫(COPD)の方のお体の負担を体験する催しに参加しました。10kgの重しをつけたベストと左右5kgずつの袋を持ちました。このような状況だと外出は確かに億劫になると感じました。

vol20/今回の総会は全体的に見て、今まであまり動きの少なかった肺がん領域の話題が一気に増えた印象を受けました。最先端の情報・ガイドラインの変更・新しい概念などを多く勉強させてもらいました。今後の診療に是非役立てたいものです。