咽頭・扁桃炎(扁桃腺炎)
いわゆるのど痛をおこすほとんどがこの病気です。主に小児に起こりますが、抵抗力が落ちると成人にもかかります。成人ではほとんどライノウィルスなどのウィルスによるものです。ウィルス性のほかには、ブドウ球菌・肺炎球菌・溶連菌などの常在菌が、原因となります。特に最近当院で問題なのは、アデノウィルスと溶連菌による咽頭・扁桃炎です。
溶連菌による咽頭・扁桃炎
溶連菌が原因菌となる場合は、小児では15-30%で、成人では5%前後です。冬から春に多発して、学校・家族内で伝染します。のど痛(白い小斑点をともなう扁桃の腫れ)・突然の発熱などを呈します。基本的に咳はでません。溶連菌の検査キット(迅速抗原検査)は感度90%、特異度80-90%とかなり有用な検査キットです。この病気であると診断されるとなんと10日間も抗生剤を内服します。抗生剤を飲んで24時間以内に他人への感染力はほぼなくなります。治療後に検尿などで、腎障害がないかを確認すべきであるとされます。
アデノウィルスによる咽頭・扁桃炎
お子さんが中心になる夏かぜの代表とされていますが、咽頭結膜炎やプール熱とも呼ばれます。プールの水が感染経路となるような強い感染力を持ち、いわゆる飛沫感染(しぶき感染)や接触感染などで移ります。潜伏期間は1週間弱程度です。症状として、のど痛・結膜炎症状(目やに・目の充血)・高熱(おもに38度以上)・などを呈します。治療は、残念ながら抗生剤などが効果なく、自己免疫力で治すしかありません。高熱による脱水症状に気をつけて、自宅安静と対症療法が中心になります。のど痛と高熱はおよそ1週間で治まりますが、目の症状は10日ほど続く場合があります。
ほかに伝染性単核球症など若年者に多い感染症や急速に気道狭窄を起こす可能性がある喉頭蓋炎などにも、注意が必要です。