豊中市少路の呼吸器内科・内科『ふなこし呼吸器内科』 | 大阪モノレール「少路」駅すぐ

アレルギー関係(アレルギー性鼻炎など)について

アレルギー関係(アレルギー性鼻炎など)について

アレルギーに関係する疾患や治療方法などについて、ご案内しています。

舌下免疫療法(アレルギー性鼻炎)について エピペンについて 花粉関連食物アレルギー症候群(PFS)について ハチによるアナフィラキシーについて

舌下免疫療法(アレルギー性鼻炎)

舌下免疫療法アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを低濃度、少量から投与し、徐々に増量、高濃度へ移行させ、アレルゲンに対する過敏性を減少させる治療法を減感作療法と言います。
減感作療法には皮下注射などもありますが、舌下免疫療法は減感作療法の一つで服用という簡便な方法で、より安全な方法とされています。

➊スギ花粉症に対する舌下免疫療法

わたしもそうですが、春先からおこる鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどのスギ花粉症は本当に煩わしいものです。これら症状を治癒あるいは緩和するために、現在抗ヒスタミン剤やステロイド点鼻薬による治療がなされています。
しかしこの治療ではなかなかコントロールできなかったり、副作用で使用できない場合があります。これらの人に舌下液という液体状の薬(体に安全な低用量の医療用スギ花粉抽出物)にて治療いたします。スギ花粉抽出物を少量の舌下液として、徐々にアレルゲンにならしていきます。
特に気管支喘息や咳ぜんそくの方がスギ花粉症出現にて喘息症状が悪化されます。当院では、喘息症状改善のためにもご治療すべきであると考えています。
(但:スギ花粉が飛散する1-5月の間は、舌下免疫療法が開始できません。 6-12月までに開始いただきます。)

【効果】
現在唯一の治癒しうる方法ですが、すべての方には効果ありません。およそ3割が治癒されて、かなり効果ある方が3割、以前より楽なった方が2割、あまり効果ない方が2割程度との報告がなされています。しかし8割の方が治療効果のあることになります。
【服用方法】
1日1回、1mlまで液を舌下に滴下して2分間保持した後に飲み込みます。初日のみ院内で内服いただきます。また内服後5分間はうがい・飲食を控えてもらい、服用前後2時間は激しい運動などは避けるようにしていただきます。治療期間は長期間でおよそ3年以上が推奨されています。保険適応(3割)で、1月2000-3000円程度です(初診時や年2回程度は検査費用などが別途必要となります)。治療の開始はスギ花粉非飛散期に行いますので、1月から5月には治療の開始はひかえるべきです。
主に使用させていただくのは、鳥居薬品のシダトレンというものです。
【適応の方】
スギ花粉症を診断された方です。しかし妊婦さんと授乳されている方や重症の喘息の方と重い心不全の方は控えるべきとされています。またステロイド内服など免疫抑制剤を加療されている方は効果が得られない可能性があります。また12歳以上が保険の適応とされています。
【副反応】
重大なものはアナフィラキシーという急性のアレルギー症状がでる可能性があります。強いものはショックに至る場合もあります。しかしこれまでの海外での実績で重篤な副反応はきわめて稀であり、従来の注射による方法よりもかなり安全とされます。軽度の副反応の主なものは口内炎や舌下の腫れなどですが、よくご理解して安全に使用していただきます。

➋ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎

スギ花粉症による症状は春先から春にかけてですが、強弱があっても、1年中さいなまれるのがダニによるアレルギー性鼻炎です。
こちらもあくまでもアレルギー性鼻炎に対するものですが、スギ花粉症と同様で喘息症状が悪化されたり、コントロール不良になる方が多数おられます。特にベットや布団・枕周りを清潔にしていただくようにご指導させていただいております。これで改善いただく方も確かにおられますが、あまり目に見える効果がない方も多いように見受けます。
この薬で必ずアレルギー鼻炎や喘息が改善するとは言い切れませんが、困っておられる方が多いのも現実ですので、やはり強い期待を持ちます。スギ花粉症と舌下液とは異なり、こちらは錠剤になっています。15年11月中の販売が予定されていおり、現在販売開始を待っております。
主に使用させていただくのは、
鳥居薬品のミティキュアというものと➁塩野義薬品のアシテアというものです。

ダニ舌下免疫療法の喘息への効果が実証

ダニ皮下免疫療法ではすでに喘息加療に用いられています。
ダニ舌下免疫療法の喘息への効果が実証された報告が16年の4月の医療雑誌に発表されました。今回はランダム化試験という一番確かとされる試験で、ヨーロッパの109の施設において調べられています。
ダニアレルギーに関連した喘息をもって、吸入ステロイド剤を使用されても喘息コントロールが悪い、アレルギー性鼻炎を合併した患者様834人(平均年齢33歳、女性48%)を対象とされました。最初3か月に治療を半分にして、次の3か月は治療中止して、喘息発作がどれだけ出てきたかを調べられました。
結論的には、表のようにダニ舌下療法施行の高・低用量2群は治療しない群と比べて、喘息発作が30%ほど減少しました。当院でもダニの舌下免疫療法を施行しております。今後は喘息加療にも大きな力になると期待します。ご興味のある方はご相談ください。

エピペン

舌下免疫療法の項でも述べましたように、アナフィラキシーという急性のアレルギー症状は時に重篤な状態に陥ります。
舌下免疫療法では初回内服時におこる可能性が否定はできませんが、当院内ではそのような場合迅速な対応をさせていただきます。しかしほかに食べ物・薬・蜂さされなどによって起こる場合もあり、医療機関にすぐに駆け込めない場合があります。
特に過去にアナフィラキシーの既往のある方は、エピペンという薬液入りの注射器を携帯いただいて、アナフィラキシーが出た場合にはこれをうっていただくことが必要です。

【アナフィラキシーって】
舌下免疫療法アナフィラキシーの症状はさまざまです。もっとも多いのは、じんましん、赤み、かゆみなどの「皮膚の症状」。次にくしゃみ、せき、ぜいぜい、息苦しさなどの「呼吸器の症状」と、目のかゆみやむくみ、くちびるの腫れなどの「粘膜の症状」が多いです。そして腹痛や嘔吐などの「消化器の症状」、さらには、血圧低下など「循環器の症状」もみられます。これらの症状が複数の臓器にわたり全身性に急速にあらわれるのが、アナフィラキシーの特徴です。特に、急激な血圧低下で意識を失うなどの「ショック症状」で、これはとても危険な状態です。
原因:頻度で述べていくと1番多いのは35%で食べ物です。続いて薬(20%)、昆虫(20%)などです。食べ物で多いのは、卵(28%)、牛乳・乳製品(24%)、小麦(18%)、そば(7%)、ピーナッツ(5%)などです。アナフィラキシーが軽度の場合は内服薬などで済む場合もありますが、「呼吸器の症状」「ショック症状」などがあれば、迅速な対応をすべきです。
過去に重篤なアナフィラキシーが起きたことのある方は、初期症状(「皮膚の症状」や「粘膜の症状」や「消化器の症状」でも)が現れたらエピペンの自己注射をおこなう必要があります。時間が経つとショックになる場合もあるので、うつのを躊躇してしまいますができるだけ速やかに施行してください。
しかしエピペンもあくまでもアナフィラキシー補助治療薬であり、なるべく注射するまえに救急車を呼んでおいて、ご使用ください。
【使用方法】
使用の際には太もも前外側に打ちます。使用に関しては“練習用エピペントレーナー”を使って練習いただきます。
【費用】
健康保険(3割の方)で、薬代としては4,000円程度です。
【適応の方】
アナフィラキシーの既往のある方、または発現する危険性の高い方です。使用できない方は、甲状腺機能亢進症・糖尿病・重症の不整脈・精神神経症のかたは使用できません。また、体重の15kg未満の方は使用できません。
おもに使用させていただくのはファイザーのエピペンという自己注射薬です。

花粉関連食物アレルギー症候群 (PFS)について

スギ花粉に隠れたハンノキ花粉

ハンノキPFSとは花粉症に合併することが多い食物アレルギーで、口腔粘膜を中心に比較的軽微な症状を呈します。特にハンノキ花粉に感作された方に合併するPFSが春を中心に起こることが有名です。ハンノキの花粉飛散期は1月中旬から4月までです。ハンノキ花粉とともに下記関連性が報告されている食物を食べた数分後に、唇・口・喉などにイガイガ感やかゆみ・腫れなどのアレルギー症状を起こします。
近畿地方ではスギ花粉のアレルギー性鼻炎の陽性率の方は57.6%ですが、ハンノキは23.0%と比較的多いと思います。ハンノキは身近で、日本全国に群生しています。お困りであれば、お教えください。

*ハンノキ花粉と関連性が報告されている主な食べ物
モモ・リンゴ・メロン・キウイ・トマト・豆乳など
モモ・リンゴ・メロン・キウイ・トマト・豆乳など

ハチによるアナフィラキシーについて

以前獨協医科大学呼吸器アレルギー内科准教授平田博国先生が、『ハチ毒アレルギーの現状』とのタイトルを医学雑誌に寄稿されてました。秀逸な内容でしたので、私なりに要点をまとめました。

➀「ハチ毒に対する感作を確認するための特異的IgE抗体検査(RAST)の重要です」

日本でハチ刺されで亡くなる方は、年間20人ほどです。そのほとんどが全身性のアナフィラキシー反応が原因であると考えられます。そのアレルギー反応の機序のほとんどが、ハチ毒に対する特異的IgE抗体というものによる(即時型)アレルギー反応によるものです。ハチに刺されると一部の人がハチ毒に影響されやすくなりますが、これを感作されると言います。ハチ毒に感作されている方の10〜20%が、ハチ再刺傷により全身性のアナフィラキシーを引き起こします。したがってハチ毒の感作を示す特異的IgE抗体検査RASTは、とても重要であるとされています。

➁「屋外労働者(林業・電気工事業者)の方々の約30〜80%が、ハチ毒に感作されています」

屋外で従事されている労働者の方々のハチ毒のRASTでは、約30〜80%が陽性との報告があり、一般事務職の約15%と比較すると高いことがわかります。

➂「ハチ毒に感作された屋外労働者の方は、エピペン®の携帯と適正に使用できることが必要です」

アナフィラキシー発症時にアドレナリン自己注射薬のエピペン®が使用できれば、致死的な状況がかなり回避できるとされています。現在屋外労働者の方々の携帯率は10〜30%程度で、さらにアナフィラキシー出現時にエピペン®を使用出来るのは、この中でさらに40〜60%程度です。エピペン®の携帯と適正使用の啓蒙が必要であると思われます。

➃「ハチ毒抽出エキスを用いたアレルゲン免疫療法の早急な保険適応が望まれます」

根本的な治療としてハチ毒抽出エキスを用いたアレルゲン免疫療法が、40年前から行われています。諸外国の報告では奏功率は80〜98%で、先進欧米諸国ではすでに標準的治療となっています。日本においても早急な保険適応と普及が極めて重要です。

この間も、テレビで樹木伐採業をされている方が、高所でアシナガバチに刺されておられました。日常の事のようでしたが、もし感作されていたら非常に危険です。
また、『福島県』のホームページによると「ハチ刺されによる被害発生時期は、アシナガバチ類はおおむね7〜8月で、スズメバチ類はおおむね7〜11月です。特にスズメバチ類は9月頃に巣の規模が最大になり、攻撃性が高まるため要注意です。」とあります。やはり夏から秋にかけてが要注意です。この時期は特に気をつけてお過ごしください。

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