2018年度の日本呼吸器学会が、大阪市で4月27-29日に開催されました。
自分のためにも、内容をレビューいたします。

  1. 『肺MAC症の感染症とその感染源』の題名で、名古屋市立大学呼吸器アレルギー内科学伊藤穣先生が講演されました。肺MAC症の感染予防は、大きな問題なので、『肺MAC症の予防対策』として今後HP上にアップする予定です。
  2. 『難治性喘息の新展開』というシンポジウムに参加しました。近藤内科医院の近藤りえ子先生が、喘息の効率的な吸入療法を紹介されました。『喘息の吸入療法』は重要な問題なので、今後HP上に新たにアップする予定です。
  3. モストグラフのデモ学会内で、モストグラフのデモがあったので、体験しました。筒状の計測器を口にくわえて、空気が送られてくるのを30秒ほど続けます。これで呼吸抵抗を測定して、肺気腫や喘息などの程度を測定します。呼気NOでは見分けのできない喘息の方を掘り起こせることができるのか?が、ポイントです。しかしまだそのようなデータはないとのことでした。導入は少し考えてみたいと思います。
  4. 呼吸器学会では珍しく実地医師向けのシンポジウムがありました。香川県の亀井内科呼吸器科医院の亀井雅先生が、喘息死について研究されて教えていただきました。開業医においても臨床研究が大切であることを話されていました。札幌せき・アレルギーセンターの田中裕士先生が、慢性咳におけるflare up(突然の再燃)の概念と鼻炎による咳が結構多いことを教えていただきました。
  5. 『多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の実際』というタイトルのセミナーに出席しました。多発性筋炎・皮膚筋炎は膠原病ですが、肺病変は重篤になることが少なくありません。今回詳細に検討いただきました。東海大学リウマチ内科学佐藤慎二先生が、抗ARS抗体陽性の慢性間質性肺炎と抗MDA5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎の話をしていただきました。次に浜松医科大学内科講座の須田隆文先生が、前者に対しては、早期からステロイドに免疫抑制剤を使用すべきであること、後者はトリプルセラピー(ステロイド+免疫抑制剤(注射+内服))が有用か治験途中であることを教えていただきました。
  6. アレルギー・免疫・炎症の最新の論文を総括する講演アレルギー・免疫・炎症の最新の論文を総括する講演に出席しました。最新の海外を中心とした論文報告のエッセンスを教えていただきました。短い時間で最新の情報をアップデートできました。
  7. 重症喘息に用いる生物学的製剤(ゾレア・ヌーカラ・ファンセラ)の話を京都大学大学院呼吸器内科学講師の松本久子先生がされました。重症喘息患者様を2つのタイプ(アレルギー優位型と好酸球優位型)に分けて適応を決定する方法を教えていただきました。アレルギー優位型は、若年発症でIgE高値だが好酸球は著名には上昇していない。好酸球優位型は、若年発症ではなく、IgEもさほど高値ではないが好酸球が著明な増加をしているタイプです。前者にはゾレアを、後者はヌーカラとファンセラが主に適応になるとのことでした。また治療の恩恵として、ゾレアはかぜウィルス感染での喘息増悪抑制効果があったことと、ヌーカラとファンセラは経口ステロイド使用されている患者様のその経口ステロイド減量の効果をもたらしたとの報告があったことを話されていました。
  8. お知らせ年1回の総会ですが、本当に勉強になります。
    来年春に東京国際フォーラムで開催されますが、是非参加したいものです。

    ふなこし呼吸器内科 院長 船越俊幹