今年は8月末から朝夕はやや涼しくなっています。しかし9月初めから、もう秋雨前線の影響か雨が多いように思えます。
- 8月25日(土)は、産業医の講習会がありました。産業医は事業所で働かれている方々の健康維持に関わる医師のことです。今回は各専門の講師の方から、講義および実習をうけました。
まず、大阪労働局労働衛生指導医河野公一先生から労働衛生の講演を聞きました。特にアスベスト(石綿)による健康被害についての話題が、中心でした。
アスベスト(石綿)は、そもそも不滅の意味で直径0.02~0.2μmの繊維状鉱物で、用途は数千種にのぼるそうです。古代はミイラを包む布やランプの芯に使用されていました。青・茶石綿が特に肺に悪いとされていますが、その原因として鉄が含まれているので、肺の胸膜直下まで蓄積されるとのことでした。これにより胸膜中皮腫などを起こしやすくなるメカニズムであることを教えていただきました。
かのスティーブ・マックイーンさんも、胸膜中皮腫で亡くなられたのことでした。日本では1890年に山よろけ(珪肺を中心とする鉱山病)の一種として認識され、1935年には塵肺法もできて、現在はアスベスト(石綿)の製造は原則禁止されています。
次に環境・健診の各測定・分析装置を使用しての実習とデモが行われました。その内容を下記に記載いたします。- ①事務所衛生基準規則に則って、作業面照度、CO及びCO2、相対湿度、気流、ホルムアルデヒド量測定などを見ました。
- ②当クリニックでも施行しております肺機能検査も実習がありました。
- ③ガスクロマトグラフ・原子吸光分光光度計・X線回析装置などのデモおよび解説がありました。ある実験を見せていただきました。写真Aはきれいな水で、写真Bはわずかな鉛入りの水、写真Cは水道水の炎色反応です。水道水でも鉛入りと同様に強い炎症反応があって驚きました。
- ④振動障害に対して、振動覚検査・タッピング検査なども、デモと解説がありました。
実習中に、試験管やフラスコが整然と並んでいるのが、かなりきれいだなと思って、つい写真を撮ってしまいました。学生時代を懐かしんでややノスタルジックになってしまいました。
- 8月31日(土)は、当院隣の緑ヶ丘病院にて、病診連携懇話会がありました。
まず、名誉院長で内視鏡センター長の阪口正博先生が病院紹介されました。消化器内科・外科の医師がお変わりになったり増員されておられ、整形外科は部長として中畑慶伍先生が着任されたとのことでした。時間の関係から、最初の講演のみ聴講いたしました。
新しく赴任された循環器内科副部長の長浦貴史先生が、冠動脈CTについて解説いただきました。当院にとって循環器内科の先生がおられると胸部に関してよく関係します。したがって、連携は必須ですので、循環器内科の存在は頼もしいかぎりです。
9月にはいり、喘息の活性を測る呼気NOの値がいつもより高くなっている方が多く見られます。実際の季節より一足早くに、秋の気配を呼気NOから感じ取っております。
ふなこし呼吸器内科 院長 船越俊幹