7月は例年患者さまが少なくなる月ですが、今年は例外です。発熱や咽頭痛などを呈する感染症の患者さまが多く来院されます。小児科が特に混み合っているとお聞きします。COVID-19から人間が少し解放されて自由になった感がありますが、病原体も同様に解放されて闊歩している様に感じてしまいます。
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4月に開催された年1回主催の内科学会総会のオンライン配信が約1ヶ月ありました。中でも間質性肺炎の講演2題が興味深い内容でした。
久留米大学医学部呼吸器内科の星野友昭先生が、『閉塞性肺疾患:診断と治療の最新情報』のタイトルで、もう一つは北広島病院の高橋弘毅先生が『間質性肺炎・肺線維症診療の進歩』のタイトルで講演されました。
COVID-19から間質性肺炎発症→悪化のパターンが有名ですが、日頃の情報の整理になりました。
他にも、東京病院呼吸器センター部長の佐々木結花先生の『結核診療の最前線』、名古屋市立大学呼吸器内科教授である新実彰男先生の『喘息治療の最近の進歩』などの講演も役立ちました。
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同様に年1回主催の呼吸器学会総会もオンライン配信が約1ヶ月ありました。中でも東京山手メディカルセンター顧問の徳田均先生のタイトル『気管支拡張症の病態と治療』の講演が最近では、珠玉のものでした。
気管支拡張症は好中球性炎症を主体としてまず考えますので、どうしてもステロイド剤の内服及び吸入剤の使用も控える様に考えられています。
しかし徳田先生は、気道細菌叢を調整すべく抗生剤使用とともに、ステロイド等免疫抑制剤を積極的に使用して加療する方法を提唱されていました。
コントロール不良の方の適応と考えますが、その成績はまずまずの結果でした。その後の治療の発展を見守りたいと思いました。
他にも京都大学呼吸器内科学助教の池添浩平先生の『画像および形態研究からみた間質性肺疾患』や金沢大学呼吸器内科の原丈介先生の『慢性咳嗽の診断と治療up to date』などが興味深かったです。 -
7月に入りまだCOVID-19が完全に沈静化したとは言えませんが、感染症法の取り扱いが2→5類になって久しいです(5/8以降)。
当院でも現在の病勢を鑑みて、肺機能検査を再開する運びと致しました。約3年ほど凍結していましたので、肺機能検査の専門家の先生を招集させていただき、看護師さん全員で再講習を行いました。
興味深いのは最近の若い看護師さんは、実習のポイントをスマホ撮影していました。私の若い頃は、脚立付きのビデオカメラで講演内容を撮影していたことを思い出しました(今は撮影禁止がほとんどです)。
医療情報がwebやSNS等を使用することで、比較的容易に的確に得られることは、素晴らしい環境になったと思います。
重ねて述べますが、3年分程度の冬の感染症がこの夏に集中しているような印象です。暑い日が続きますが、3密を少し意識してお過ごし下さい。
ふなこし呼吸器内科 院長 船越俊幹