喘息の吸入療法
はじめに
気管支喘息(咳喘息)において、ステロイドの吸入剤(ICS)が治療の中心になります。このことは、日本ばかりでなく世界共通の認識となっています。
しかし普段調子の良い時はさぼりがちになり、発作の時に吸入しても即効性が少なく、つい気管支拡張薬に頼りがちになる方も少なくありません。
気管支喘息(咳喘息)が、調子の良い時も「気道(肺の空気の通り道)が、慢性に炎症を起こしている」ことを理解していただきたいです。これを放置すると「リモデリング」と言って、気道自体の壁が厚く硬くなり元に戻らなくなってしまします。
かと言っても季節的に夏などは安定される方も多いので減量できる方もおられます。逆に春や秋などは用心すべきです。
当院では全く一年中同量を吸入することなく、状況により吸入量を加減することを心がけています。ただしこれができるのも、患者様が吸入方法を理解して、きちんと決められた通りに吸入をご継続いただけるからです。
今回吸入療法のほとんどメインとなるDPI(ドライパウダー定量吸入器)とpMDI (加圧噴霧式定量吸入器)にスポットを当てて記載しました。
DPIの主な製品
レルベア・アドエア・シンビコート・メプチンスイングヘラー・フルタイド・パルミコート
pMDIの主な製品
フルティフォーム・オルベスコ・アズマネックス
DPIの吸入方法
- まず薬をセットします。
今の吸入薬はほぼディスポーザル(使い捨て)です。薬は1回ごとにその都度セットしてください。レルベア・アノーロ 容器のレバーを最後まで開けるだけです。 アドエア・フルタイド 容器を垂直に持って、レバーを下方に押し込むだけです。 シムビコート・パルミコート 容器を垂直にして回転グリップを回す。 - 息を吐き出し、吸入口をくわえて口を閉じ、力強く深く吸う。
数秒間息を止めて、ゆっくり吐き出す。
pMDIの吸入方法
- 容器をよく振る(オルベスコとアズマネックスは不要)。
- アダプターを歯で噛んで、咥える(くわえる)。
- ボンベを強く押して、同時に約3秒間息を深くゆっくり吸い込む。
- 息をいっぱい吸って、そのまま3秒以上息を止める。その後にゆっくり吐き出す。
pMDIの場合は、吸入補助器となるエアロチャンバー使用することで、深い吸い込みや息どめが弱い方でもうまく吸入ができるようになる方がおられます。
また副作用としての声枯れが改善する方も、少なくありません。
どちらも、複数回吸入する時は、吸入毎にセットを行います。
また、吸入は食直前で行い、必ずうがいをしっかり行います。