間質性肺炎
肺は顕微鏡レベルで見ると肺胞という無数の小さな袋がたくさん集まってできています。この小さな袋で酸素と二酸化炭素のガス交換がなされて、肺が呼吸という役割を担います。
間質性肺炎は、この肺胞の壁が炎症を起こして厚くなったり硬くなって、ガス交換の働きができなくなります。ですので、症状としては、咳・痰がでたり、ひどくなると呼吸困難に陥ります。
■ 間質性肺炎の肺
間質性肺炎の原因は、喫煙、膠原病、じん肺、アレルギー性、薬剤性のものなどがありますが、原因不明のものも多くあります。また間質性肺炎は病気の総称であり、その中にいろいろな分類がなされており、診断が容易ではないとされています。
診断についてですが、問診と言いますが、患者さまの於かれている背景を詳しくお聞きすることから始まります。これで原因がある程度わかることもあります。
同じように大事なのが、胸部CTで肺を観察することです。X線写真では、診断できる精度にはありません。
以前在職の済生会千里病院の救命センターで、集中治療室に重篤な呼吸不全の患者さまがよく運び込まれていました。原因が通常の肺炎なのか、間質性肺炎や心不全による肺のうっ血なのかCTの読影が最も大切な情報でした。CTの読影には上甲剛先生という胸部画像読影が専門の先生に長年お教えいただいたことが私には大きな糧になっております。この先生に教えていただける機会に恵まれていることは、他の呼吸器内科医師の垂涎の的のようなことです。今後もいろいろな患者さまのCTを一緒に読影していただきたいと思っています。
さらに気管支鏡検査や必要であれば一部手術などで、肺の組織を採取することもあります。
間質性肺炎の治療
治療に関しては、喫煙、じん肺、アレルギー性、薬剤性などは原因除去が一番です。
しかし膠原病や原因不明のものの方が圧倒的に多く、治療は困難になる場合も少なくありません。
病気の原因が炎症を起こしているような場合はステロイド剤が効果ありますが、線維化と言って硬くなるような変化には効果ありません。進行を抑える程度には、ピルフェニドンという内服薬を使用します。
現在ニンテダニブなどのあたらしい薬の承認が待たれます。