4月に入り、クリニック通信作成時には桜が咲き誇っています。通勤は自転車なのですが、結構桜の木が植えられていて、目を楽しませてもらっています。
4月2日(土)は気管支喘息の大きな講演会がありました。喘息の講演会に参加してもあまり新しい情報はなかなか得られないことが多いです。しかし今回5題の講演がありましたがすべて粒がそろっていました。自分のためにもレビューいたします。

  1. vol19ペット感作と喘息について
    国立三重病院の長尾みづほ先生が話されました。臨床研究で有名な先生で何回か話をお聞きしていますが、今回の話は特に面白かったです。乳幼児について感作というアレルゲン(アレルギーの元)を起こすようになることと喘息発症についてでした。まず通常ペットを飼育しているとそのペットに感作すると思いがちですが、飼育率より感作率の方がずいぶん高いそうです。次に調査ではペットに対する感作は、牛乳に感作するお子さんに多いとのことでした。また、多くのものに感作するお子さんは、喘息も発症しやすいとの報告でした。
  2. 喘息コントロールの調査表について
    世界的に喘息がコントロールできているか?を調べる調査票は数種類使用されています。日本発のJACSというフリーの調査票の話を札幌せき・喘息アレルギーセンターの田中裕士先生が作成に関わる話をされました。
  3. vol19好酸球性副鼻腔炎について
    今回の目当ての講演でした。好酸球性副鼻腔炎の中に重症喘息も併発されている方が多く、特にアスピリン喘息のかたに関係が深いと言われています。この診断基準を作られた福井大学の耳鼻科教授藤江重治先生が講演されました。通常の副鼻腔炎と異なり、
    ❶成人以降の発症❷両鼻に❸慢性の経過で❹難治性・再発性が強い
    とのことでした。治療は手術もありますが、抗生剤とともにステロイドが必要とのことでした。また藤江教授の推す漢方薬やなんと納豆がよいことを教えていただきました。現在納豆キナーゼを含むサプリメントの治験が走っていることでした。
  4. 肺音解析について
    通常医師向けのものは聴診器での聞こえ方を話されることが多いのですが、今回は東海大学医学部小児科望月博之教授が、喘息のお子さんの肺音をデシベルとヘルツの2次元でコンピューター解析されて、発表されていました。
  5. 気管支サーモプラスティー(気管支温熱療法)ついて
    2月のクリニック通信でも述べました重症気管支喘息の方に対する気管支サーモプラスティーの話を近畿大学医学部東田有智教授が話されました。3週間ごとに気管支鏡を使用して、3回の入院が必要とのことです。
    高額医療申請して通常のご家庭で1回17万円もかかるそうですが、一生において一度きりなのでお得になる可能性もあるかなと思いました。効果として有効性は症状改善の方が70%、減薬できる方は30%弱、喘息治療中止できる方が7%だそうです。関西で先端的に施行されている近大医学部では、月1人のペースでされているそうです。
    今後通常の加療でコントロールできない喘息の方の選択肢の一つとなりえるかもしれません。

vol19/4月は春本番といった感じですが、気候の寒暖差とさらにスギ→ヒノキと移行される花粉症のある方は咳がいつもより強くなっておられます。咳のある方は、是非お教えください。なにとぞよろしくお願いいたします。

ふなこし呼吸器内科 院長 船越俊幹