今年も4月12日(金)-14日(日)に東京で、第59回日本呼吸器学会学術講演会に出席いたしました。診療日の関係から13日(土)から出席いたしました。興味のあった講演会について自分の備忘録のためにも下記に述べます。

  1. タイトル:『増加する肺MAC症』
    講師:佐々木結花先生(複十字病院呼吸器センター)
    最近、顕著に増加の一途をたどる肺MAC症について講演されました。新しい知見として、抗MAC抗体が病勢を示すとのことでした。抗MAC抗体は存在診断としてのみ使用しておりましたが、今後は病勢の指標できると思われました。またジスロマックというよく使用される抗生剤が効果あるのですが、医療保険では3日間しか使用できません。今後長期使用ができることを期待します。
  2. タイトル:『特発性間質性肺炎IPF診療の最前線』
    講師:井上義一先生(近畿中央胸部疾患センター)
    特発性間質性肺炎IPFについて、最新の情報を教えていただきました。患者さまのアンケートを用いて、臨床に即して説明いただきました。
  3. タイトル:『間質性肺炎をどう理解するか?』
    講師:谷澤公伸先生(京都大学呼吸器内科)
    古典的な歴史の流れから、話されました。奇をてらわない、オーソドックスな内容でしたが、知識の整理になりました。間質性肺炎のCT読影にもAI化の波が来ていることを知りました。今後実用してもらいたいものです。
  4. タイトル:多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の治療戦略
    講師:中島蘭先生(京都大学臨床免疫内科)
    多発性筋炎・皮膚筋炎合併の間質性肺炎は、難治性で予後が悪いとされています。京大医学部病院の先生が、免疫内科の立場から特に免疫抑制剤を使用した治療戦略を解説いただきました。呼吸器内科は免疫抑制剤の使用は専門ではないので、どうしても副作用の面から敬遠しがちです。今までも理解していたのですが、今回の治療成績の総括から果敢に使用すべきことがよくわかりました。
  5. タイトル:『高分解CT(HRCT)読影の基礎と実践(-間質性肺炎と肺感染症を中心に-)』
    講師:徳田均先生(JCHO東京山手メディカルセンター)
       上甲剛先生(関西労災病院)
       高橋雅士先生(友人山崎病院)
       氏田万寿夫先生(立川総合病院)
    今回の学会で一番楽しみにしていた講演です。呼吸器内科診療で、間質性肺炎と肺感染症の診断は、臨床的な情報や血液検査も重要ですが、CT読影によるものが特にポイントになることが多いです。今回高分解CTでの読影について、講師の方4人で解説いただきました。しかし会場がいっぱいだったので、出入り口に群がる人の頭の合間から3時間立ちっぱなしで聴講することになりました。まず徳田均先生が、HRCTの基本的な理解を話されて、上甲剛先生が慢性化する間質性肺炎について、急性の肺感染症について高橋雅士先生が、慢性の肺感染症について氏田万寿夫先生が、それぞれ解説されました。それぞれ読影のポイントを学びました。楽しみにしていた様に内容が素晴らしかったです。
  6. ふなこし呼吸器内科 院長 船越俊幹