12月に入り、発熱されている方が多く来院されています。COVID-19感染症はかなり下火になった印象ですが、インフルエンザA型が多く見られます。発熱患者様が例年より多く、待ち時間が長くなるのは心苦しい限りです。早く来院されても、一旦帰宅されて来院されるなど、ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。

  1. 11月中は、環境再生保全機構による呼吸ケア・リハビリテーションスタッフ養成研修の講習を本年もwebで視聴しました。昨年とほぼ同様な内容ですが、内容が膨大なので1回の聴講ではなかなかものになりません。来年も募集があれば、また視聴したいと思います。

    修了証

  2. 11月25日(土)は、webで令和5年度豊中市肺がん検診症例検討会を視聴しました。講師は刀根山医療センター診療部長の森雅英先生が講師をされました。昨年に続き、胸部レ線の読影方法などを説明されました。具体的に肺がんが見つかった方のその後の治療経過などを教えていただきました。

    豊中市肺がん検診講習会「肺がん検診で発見された症例に対する検討」
    手術

  3. 12月3日(日)は、会場でアナフィラキシーと睡眠時無呼吸症候群の講演を聴講しました。 アナフィラキシーは『職場で遭遇するアナフィラキシーにつながる身近な食物アレルギー』のタイトルで、藤谷クリニックの藤谷宏子先生が講演されました。
    下記は自分のために備忘録のためにも内容を記載します。
    ・アナフィラキシーの誘因は70%近くが食物ですが、死亡に至るのは医薬品とハチ刺傷が多くなっています。症状としては、皮膚症状→呼吸症状が多くなっています。
    ・講演の中心は食物アレルギーでしたが、高校生までの頻度は、おおよそ4.5%程度です。食物アレルギーの原因食品は、鶏卵→牛乳→小麦→木の実類→落花生の順となっており、まさにこの順でショック症状の出る頻度も同じです。
    ・食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)は、ある食物を食べて運動された後にアナフィラキシーが出るものです。食べ物は小麦→甲殻類が多く、運動は球技→ランニング→歩行となっています。
    ・乳児であっても食物アレルギーがでますが、今までの研究では、妊娠中などの母親の食事内容で子供の食事アレルギーへの影響はまずないそうです。
    ・ラテックス(天然ゴムの原料の木のこと)アレルギー(LFS)があれば、バナナ、アボガド、クリ、そばなどにも強くアレルギーが出ることがあります。
    ・花粉食物アレルギー(PFS)の方は、一般的にアナフィラキシーは起こさないが、豆乳アレルギーが出ることがあります(大豆は出ないそうです)。
    ・サーファーの方には、納豆アレルギーが多いそうです(食後8時間程度で発症するそうです)。これはクラゲに刺されることが多いので、クラゲに含まれるポリガンマグルタミンというものが、納豆にも含まれるからだそうです。
     睡眠時無呼吸症候群(SAS)は『労働者における睡眠時無呼吸症候群の検査と治療』のタイトルで、松澤呼吸器クリニック院長松澤邦明先生が講演されました。
    下記はやはり備忘録のためにも記載します。
    ・日本国内にはおおよそ500万人の方が、SASがあるとされています。
    ・最近は、成人男性が多かったのが、女性や子供にも増えています。
    ・現在はSASのCPAP治療のオンライン診療はできなくなっているそうです。

    アナフィラキシー定義2014年
    無呼吸は10秒以上呼吸が止まること

  4. 12月6日(水)は、済生会中津病院呼吸器内科部長の上田哲也先生が来院されました。当院との病診連携と呼吸器内科の学術情報などの話し合いをさせていただきました。当院でも大阪市北部の方も来院いただいておりますので、病院への紹介先として安心な施設であると実感いたしました。

  5. 12月8日(金)は、webで咳に関する講演会を視聴しました。『咳嗽診療における最近の診断』のタイトルで、長崎大学呼吸器内科准教授の尾長谷靖先生が講演されました。現在作成中の咳嗽ガイドライン作成の中心的な役割をされているお一人です。24年中に発刊の予定だそうです。現在におけるおおまかな内容を教えていただきました。現在19年発刊のものより、内容がさらに進歩しそうな印象を受けました。

    巻頭フローチャート①成人急性咳嗽への対応

  6.  12月は講演会が多く、もう前半で記載内容が通常量よりオーバーとなっていまいました。新年の1月前半は講演が少ないようなので、12月後半の内容は1月クリニック通信に繰り越そうと思います。
     ところで、現在はコロナ以外の感染症が猛威をふるっており、これらも広義ではコロナ禍に入ると解釈します。しかし新年はコロナとそれ以外の感染症も集団免疫が付いてきていると信じて、発熱患者様が落ち着かれることを期待いたします。

    ふなこし呼吸器内科 院長 船越俊幹